キャリアの物語をつむぐ

働きかた編集者 山中康司のブログ

【備忘録】”職業”はどこから”文化”になるんだろう

動物の場合、レッドリストのような絶滅危惧種の指定があって、指定された種は保護されることになる。

でも僕が知る限り、職業にレッドリストはない。だから、市場で流通しなくなった商品やサービスを扱っていた職業は、基本的に淘汰されてしまう運命にある。

 

先日見たNHKの『プロフェッショナル仕事の流儀』、”最後の職人”の回で紹介されたのは、そんな失われつつある運命にある技術をもつ職人だ。

日本でただひとりしか出来ない、漆カンナを作る技術を持つハガネ職人。そして、人間国宝も惚れ込む技術を持つヤスリ職人。彼らの技術は、ミリ単位の正確さがギリギリまで突き詰められていて、本当に胸を打たれるものがある。

 

そうした技術を目の当たりにするにつけ、「職業は、必要とされなくなったものは無くなる運命にまかせてしまっていいんだろうか? 」という思いがよぎった。

この問題、どうなんだろうな。言い換えれば、職業はある段階から、経済に属することがらではなくて文化に属することがらになるのかもしれない。そう考えると、文化の保護という観点で、職業の保護が必要になってくる。

 

人間国宝とかいった仕組みも、文化の域に達した職業をまもるしくみなんだろう。いったいどの一線から、職業は文化になるのかについては、あらためて考えてみたい。

 

参考:「中畑文利/やすり職人・深澤敏夫(2016年2月22日放送)」これまでの放送 |NHK プロフェッショナル 仕事の流儀