働きかたを編集する

働きかた編集者 山中康司の備忘録

【イベントレポ】日本的雇用の特殊さを理解するための「membership contract -job contract」という構図 -GHC sumitt #002-

GHC sumitt #002」というイベントに参加してきました。GHC sumitt #002」は、世界各国の人と日本人のプロフェッショナルが、一緒に日本でのあたらしいはたらきかたを考えるインタラクティブなセッション。今回は”日本の雇用”について、議論がおこなわれました。

 

とくに印象に残ったのは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の組織人事戦略コンサルタントである名藤大樹さんの「membership contract -job contract」という話。備忘録的に、ちょっとまとめてみます。

 

 membership contract とjob contract

 

これらふたつは、それぞれどのようなことなのか。その違いをざっくりまとめると、次のようなものになります。(ほんとにざっくりです)

 

 

membership contract

所属の契約。日本で特殊な発展を遂げた、「総合職」という雇用のしかたがこれにあたる。企業と所属の契約を結ぶので、勤務地や給与や業務など企業側の都合に左右されがち。だがそのぶん、大きな仕事ができてスキルアップが期待できたり、社内での出世ができたり、福利厚生や生活の保障はしっかりしている。(これに対しては、「いまはもう総合職だからといって保障がしっかりしているわけではない」との意見も)日本の雇用形態のヒエラルキーでトップに君臨する。

 

 

job contract

 業務の契約。日本の雇用形態のヒエラルキーでは、おうおうにしてmembership contractよりも下に位置する。企業と所属の契約は結ばないので、勤務地や給与や業務など企業側の都合に左右されないでいられる。反面、生活の保障がmembership contractほどじゅうぶんになされないことが多い。

 

名藤さんによれば、海外ではjob contractが一般であるものの、日本では反対にmembership contractが一般的であり、membership contractを会社と結んだ個人が雇用のヒエラルキーの上部にいると指摘しました。

 

日本的雇用は変わりつつある?

 

会場に来ていた外国人参加者からは、membership contractがわりと一般的で、極端な話会社に奉公することが美徳ともされていたような日本の雇用のしくみに、驚きと戸惑いの声が聞かれました。

 

とはいえ、多くの日本人参加者が指摘したように、membership contractとjob contractの待遇格差など、垣根をとっぱらおうという動きが進み始めているのも事実。いまも政府は、同一労働同一賃金の実現に向けて取り組んでいます。

 

ぼくも、長期雇用を前提としたmembership contractは、そもそも長期雇用を会社が保障できなくなってきたいま、難しくなりつつあるんじゃないかと感じています。たしかに社会に根付いた慣習が変わるのは難しい。ですが、すこしずつ、確実に変わっていってるんじゃないかな、しかも柔軟性のないこのしくみを変えていかなくてはならないな、と思う次第です。