キャリアの物語をつむぐ

働きかた編集者 山中康司のブログ

NPO職員は食べていけるか

今日大手企業の採用面接が解禁になった。

でも最近では、大手企業ではなくNPOに関心を持ってる学生も結構いるみたいだ。学生と話させてもらうと、「NPOで働くことに興味があるけど、食べていけるんですか?」って聞かれることが多かったりする。

聞いてくれる方は直接説明できるからいいのだけど、その背景には、聞くまでもなく「食べてけないでしょ」って諦めちゃってる方がたくさんいるのかもしれないな、とおもう。

別にNPOが無条件にいいとは思わない(たとえば社会貢献したいからNPO、と思っているのだとすると、その動機はもうちょい深掘りしたい。営利企業でも公的機関でも、はたまたプロボノでも社会貢献はできるので、NPO常勤にとらわれる必要ないかも)けれど、かといって"NPOは食べてけないから"という理由で選択肢からはずしちゃう人がたくさんいるとしたら、もったいない。

NPOの平均年収のデータが手もとにあるわけじゃないので一般化はできないけど、"食べていけてる"NPO職員はたくさん知ってる。

それに、僕の場合NPOに入って実感したのは、お金という意味での資本ではなく、人とのつながりとしての資本、いわゆる社会関係資本はたまりやすいなと。共感によってさまざまな人が集まってくるので。

自分が病気になったときや仕事がなくなったとき、たすけになるのはそうしたつながり。いやさそんなピンチなときに限らず、仕事の機会や出会いをもたらしてくれるのは人とのつながりだったりする。

そういった意味では、"NPOで食べていけるか"という問いに対しては、YesともNoとも断定はできないのだけど、「収入という意味ではもしかしたら一般企業よりは下がるかもしれないけど、その年齢の平均年収くらいは稼げるところもちゃんとある。それに、社会関係資本を得やすいから、お金以外のセーフティネットをつくることができるかもしれないですよ」って答えてる。(かもしれない、というのは、あくまでも僕の実感なのでみんなそうなのかはわからない、ということで)

繰り返しになるけれど、だからNPOでいいのだ!ってことではなく、まずは「食べていく」ってことが自分にとってはどれくらいの収入が必要なのか、社会貢献をしたいという気持ちの背景にはどんな価値観があるのか、それはプロボノや副業、あるいは企業のCSR担当でもできることなのかなど、自己理解を深めることがまずは大事なんじゃないかな、とおもう。

また、これまでの議論とあまり関係がないけど、就活っていうシステムを通して病んでしまう人が(自分を含めて)まわりに何人かいた。そういう人が少しでも減るように、「新卒で東京の大企業に正社員で入る以外の選択肢もあるよ」ということを伝えたり、体現していけたらいいな、なんて思う今日このごろ。