働きかたを編集する

働きかた編集者 山中康司の備忘録

学生こそライターをやった方がいいと僕が思う理由

ぼくが大学生の時は、「どれだけはやく、大きな企業から内定をもらえるか」が大事だと思っていましたが(結局就活しなかったけどね)、「この寄り道は、きっと近道になる。」とうたう、ユニークな大学生向けのサイトがオープンしました。

 

それが、「ぼくらとシゴト。」です。

 

www.bokuratoshigoto.com

 

「自分のモノサシ(軸)」作りをサポートする

 

どんなサイトかというと、

 

本サイトは、自分らしい生き方・働き方を目指したい大学生のための
キャリアデザイン支援サイトです。
自分らしい生き方・働き方を実現するうえで
根幹となる「自分のモノサシ(軸)」作りのヒントを記事で紹介します。

 

だとのこと。

 

この「自分のモノサシ(軸)」作りというのは、キャリアコンサルティングでは「自己理解」と呼ばれて非常に大切なポイントとされています。

 

「そんなの、みんな自己分析をやってるじゃないか」と思うかもしれませんが、よくある診断ツールや自己分析のフォーマットがあればすぐできる、というものではないのです。自己理解は、なにかを経験し、その経験を通して感じたことを自問自答していきながら、自分の興味や能力、価値観を探っていく…そんなプロセスを繰り返し行うことで、だんだんと深まっていくものです。

 

ちなみに日本キャリア開発協会では、このサイクルを「経験代謝」と呼んでいます。経験を思い出し、それへの意味付けを見出すサイクルを新陳代謝のように回していくことで、自分のことを知っていく、ってことですね。

  

「ぼくらとシゴト。」ではコンテンツとして、

  • 多様な働き方・生き方を知れる人生の先輩へのインタビュー
  • 「自己理解を深められそうなイベント」のレポート
  • 自己分析の方法を知ることができる学生ライターの自己分析体験記
  • 同じ悩みを持った仲間と出会えるリアルイベント

を予定しているそう。

 

こうしたコンテンツ制作を通して学生ライターは、インタビューやイベントという体験をし、自己のことを振り返ってみる、というサイクルを回すことができるのだろうと思います。そして読み手である学生は、その姿を通して自分も疑似体験をしながら、自己理解を深めていくことができる、という仕立てになっているようです。

 

まさに、学生が経験代謝を回しながら自己理解を深めていくことが目指されたサイトだなぁと思います。

 

学生こそライターをやった方がいい

 

「ほとんど仕事の経験がない学生のうちは、自分の興味・能力・価値観なんてわからないだろう」という意見も頷けます。実際に、社会人になって30歳、40歳、50歳、それ以上になっても、自分がやりたいことはなんなのかと迷っている方がたくさんいますし。

 

ただ、たしかに自己理解を深めていくことは人生を通して取り組んでいくべきことだとしても、やはり学生のうちだからこそ経験しておくべきことはあると僕は思うんですよね。

 

とくに、大学院生時代に編集・ライティングの仕事を始めた自分の経験からいうと、学生時代にライターをやることには次のような意義があると思っています。

 

  1. 人生のセンパイから、取材の名目でじっくり話を聞くことができる
  2. 「学生」という肩書きだからこそ、会ってくれる人・話してくれる話題がある
  3. 多様な生き方、働き方に触れることができる
  4. 記事作成のプロセスを通して、社会人としてのコミュニケーション能力を身につけることができる

たとえば、ちょっと昔の例で言えば立花隆さんの『二十歳のころ』は、東大で教えていた立花さんが20歳前後のゼミ生に、老若男女・有名無名の人生の先輩たちの「二十歳のころ」をインタビューさせ、まとめさせたもの。

 

読み物としてとても面白いのですが、当時のゼミ生にとっても、人生の先輩たちが自分たちと同じ年頃だったときに何を考え、何をしていたかを聞くことで、自分がどう生きるか考える上でのロールモデルになったはずです。取材対象者も、相手が学生だからということで熱心に話してくれたということもあるはず。

 

また、取材対象の選定から取材依頼といったことまでゼミ生がやったというので、コミュニケーション能力をつける意味でも非常にいい経験になったのではないでしょうか。

 

「ぼくらとシゴト。」は現代版『二十歳のころ』?

社会人になってみて実感することは、学生だから会ってくれた人や行くことができた場所はたくさんあるなぁということ。また、たくさんの物事を経験すればするほどまっさらな気持ちで新しい経験をすることが難しくなっていってる実感もあります。

 

だから、学生時代に新しい経験を、とくにライターをやることはすごく意味がある。「ぼくらとシゴト。」は、そんな機会を提供する、現代の『二十歳のころ』のようなサイトになるのではないかなぁと思います。