キャリアの物語をつむぐ

働きかた編集者 山中康司のブログ

働き方にモヤモヤしたら、それは自分が変わるチャンス-ブリッジズのキャリアトランジション論①-

「自分はこのままの仕事を続けていいのだろうか」と思うときが、人生の中では誰にもあります。

 

僕にも経験がありますが、そういう時期というのはなんとも居心地が悪い。いつも胸にモヤモヤとしたものを抱えている感覚がして、目の前の仕事に意味を見出せなくなってしまったり、空虚感を感じたりします。

 

キャリアの転機としっかり向き合う

そうしたモヤモヤから、どうしても目を背けたくなってしまいがちです。でも、モヤモヤした時期は見方を変えれば、自分が変わるチャンスでもあるんですよね。

 

例えるならばサナギの状態。上手に過ごすことができれば、それまでとは全く違った自分に生まれ変わることができるのです。反対に、モヤモヤから目を背けてしまうと、自らが変わるタイミングであるにもかかわらず変わることができずに、チャンスを逃してしまうことになってしまいます。

 

 

終わらせなければ、始められない

 

キャリアについての理論でも、転機に関する理論はいくつもあるのですが、今回は紹介するのはアメリカの心理学者であるウィリアム・ブリッジズの「キャリア・トランジション論」。「トランジション」とは「節目、転機」という意味です。

 

ブリッジズは、転機を次の3つに分けています。

 

第1段階……終わり

第2段階……ニュートラルゾーン

第3段階……始まり

 

転職、失業、結婚、失恋……望むと望まざるとにかかわらず、人生の転機はやってきます。そんなどの転機においても、「終わり→ニュートラルゾーン→始まり」の段階を経て乗り越えて行くことになります。

 

転機については、どうしても「始まり」に意識が行きがち。転職で言えば、「次はどんな仕事をしようか」「どんな会社につこうか」といったことですね。

 

しかしブリッジズによれば、始まりを考える前にそれ以前のことを終わらせなければ、始めの一歩をしっかりと踏み出すことはできません。つまり、「しっかりと終わらせる」ということの大切さを指摘したという点で、ブリッジズの理論はとても示唆に富んでいます。

 

転職の例で言えば、それまでの仕事のどこが好きで、どこが違和感があったのかなどをしっかりと言語化できないうちに、ただ「自分には合ってなかったから」という理由で転職をしてしまうと、また同じような壁にぶつかって「やっぱり違った」となってしまいかねません。

 

「終わり」の時期は、ブリッジズによればアイデンティティの喪失やコミュニティからの離脱、人生の目標や方向性の喪失など、とても苦しい経験をする時期なのですが、そうした経験から目を背けず、とことん味わい尽くして”終わらせる”ことが重要なのです。

 

”終わり”を味わい尽くすための「ニュートラルゾーン」

 

このように、「終わり」を味わい尽くすことで、ポジティブに次のステップを始めることができ、キャリアのモヤモヤを自分が変わるチャンスに変えていくことができるのです。

 

さて、終わりを味わい尽くすためには、一人になってじっくり自分と向き合うことが必要です。そうした時間をブリッジズは「ニュートラルゾーン」と読んでいます。転機の2段階目ですね。長くなったので、このニュートラルゾーン」についてはまた次回にご説明できればと思います。ではまた。