キャリアの物語をつむぐ

働きかた編集者 山中康司のブログ

自分の中に”問い”を持て

仕事がら、よく本を読んだり、記事を読んだり、イベントに行ったりして、おそらく一般的な28歳男性よりも勉強している方なはずであるわたくし。

 

が、あとから「あの本、どんなこと書いてあったっけ」「あの記事なんて書いてあったっけ」って振り返ってみると、さっぱり覚えてない。ぜんぜん頭に入っていないんですね。

 

結構時間をかけてインプットをしたのに何も残ってないのだ、と思うと、「やれやれ。自分は頭悪いのだろか」って気持ちになります。

 

情報の海に溺れている

 

まぁでもよく考えたら、現代に生きる僕らはものすごい量の情報を浴びています。ちょっと調べてみたら、全世界の情報の総量は急激に増加していて、2020年になるとなんと、世界中で40ゼタバイトに!!!!

 

…どうにもピンとこないのですが、44兆GBらしい。とりあえずものスゴイ天文学的数字なのだということはわかりますね。

 

「情報の海」というたとえがよく使われますが、まさに情報は茫漠たる大洋のように僕らの前に広がっているというわけです。そりゃ、頭に入らなくもなりますよ。(と、自分を慰めてみる。)

 

とはいえ、編集者のような情報を扱う仕事をしている僕のような人間にとっては、情報の海に溺れてしまうことは致命的。漂流してしまわないように、コンパスが欲しいものです。

 

情報過多時代の”問い”の重要性

 

情報過多時代に進む道を示してくれるコンパスとは、”問い”ではないかと思います。

 

読書の方法について書かれた名著『本を読む本』(J・モーティマー・アドラー , V・チャールズ・ドーレン 著)で、同じテーマについて複数の本を上手に読む、高度な読書術として紹介されている「シントピカル読書」をご存知でしょうか?

 

ご存知でない方は、ぜひこの記事を読んでください。シントピカル読書の方法がわかりやすくまとまっています。

studyhacker.net

 

記事からちょっとだけ抜粋すると、シントピカル読書とは

 

1.問いを定める
2.異なる視点から書かれた本を二冊以上集める
3.それらを分類、統合して主題に対して多角的に理解する

 

この3つのステップを踏むことで、異なる文献を当たりながらも情報を整理して理解することができる方法なのです。

 

このシントピカル読書で、ポイントは”問い”を立てること。それぞれが異なる意見を主張している本どうしを、一つの”問い”を立てることで分類したり、統合したりすることができるのです。逆に”問い”がなければ、それぞれの本はバラバラの情報でしかありません。例えるなら”問い”は、鶏肉とかネギとかピーマンとか玉ねぎといった異なる存在を貫く櫛みたいなものでしょうか。

 

さらに、”問い”を立てることで、関係のない箇所は読み飛ばすことができる。結果的に効率的に情報を得ることができます。

 

シントピカル読書は、本の読み方についてのノウハウですが、本に限らず情報を集める時にはすごく有効です。ある”問い”を立てて、記事を読んだり、イベントに参加したり、知り合いと話してみたりしてみると、学びの理解度が違ってくる。それに、効率的に情報を得ることができる。

 

たとえば僕は今「仕事はどのように人を幸せにするか」という”問い”を持っています。その”問い”を頭においてニュースアプリをみると、自分が読むべき記事がわかるので効率的。さらに、記事を読んでも頭に入りやすい。イベントでもそうですね。僕はイベントに参加だけして満足しちゃって、何も頭に残らなかったという経験がたくさんありますが、そういう残念なことにならなくてすみます。

 

そうして、ひとつの”問い”で記事やイベント、人との出会いの関係性が生まれてくる。「仕事はどのように人を幸せにするか」という”問い”に対してあの記事ではAと言っていた。でもイベントではBと言っていた。AとBは矛盾するようだけど、この前会ったあの人が言ってたCと考えればAとBは矛盾しないんじゃないか…みたいに、情報が整理されていくんです。これなら、情報の海に溺れずにすみますね。

 

自分のなかに”問い”を持とう

 

岡本太郎さんの著書に『自分の中に毒を持て』というタイトルのものがあります。いいタイトルですよね。

 

それにかこつけて言わせていただけば、情報化社会である現代は、「自分の中に”問い”を持つ」のもすごく大切な気がしています。当たり前のようで、それが結構むずかしいだけどね。