「NPO=ボランティアだろ?」という親に伝えてあげたい、「NPOも稼いでいいんです」ということ
フローレンスの駒崎さんがブログで紹介した、参議院予算委員会での論戦が話題になっている。
詳しくは駒崎さんのブログを読んで欲しいのだけど、ざっくりいうと、公明党の山本香苗議員がものづくり補助金の対象からNPOなどの非営利活動法人が除外されていることについて質問し、それに対して経済産業大臣である世耕弘成が回答。
初めは官僚が書いたものを答弁していたものの、途中から世耕大臣自身の言葉で語りだす。
「NPOとかは、これだと収益力向上を図らないのか、経常利益や付加価値額のアップを図らないのかと誤解をされるんですが、当然私は、NPOはよく誤解をされますが、利益を上げていいわけです。」
と、NPOに対するよくある「稼いじゃダメなんでしょ」という誤解に、「稼いでもいいんですよ」と反論したうえで、ものづくり補助金の対象に非営利法人も含むことを「検討する」と前向きな姿勢を示したことで、ソーシャルセクター界隈では「よくぞいってくれた!」と喝采が起きている。
根強い「NPO=稼げない」イメージ
NPOをはじめ、非営利法人についてまわるのは、「稼いじゃダメなんでしょ」という誤解。ぼくもNPOに転職すると親に伝えた時、「なんでボランティアなんかやるんだ」と言われたのを思い出す。
世代によると思うのだけれど、ぼくの親世代は「NPO=サヨクのボランティア」みたいなイメージがあるのかもしれない。ぼくの同世代なんかは、そこまで極端な誤解はないものの、「NPO=稼げない」というイメージはやはり多くの人が持っている気がする。
実際に、ソーシャルセクターに興味がある学生によく聞かれるのが、「NPOで食べて行けますか?」ということだったりする。
ソーシャルセクターの平均年収は低い…わけでもない
じゃあ実際のところどうなのかというと、「ピンキリじゃないか」と思ってる。
NPOや社会的企業などで構成される新公益連盟の調査によると、ソーシャルセクターの平均年収は339万円で、一般中小企業では292万円を上回っているそうだ。
(参考:ソーシャルセクターの給与・働き方・キャリアとは? ~新公益連盟ソーシャルセクター組織実態調査2017より~ | DRIVE - ツクルゼ、ミライ!行動系ウェブマガジン))
調査対象となったNPOは一部なので、この結果を持って「NPOは稼げるんだ!」とは言えない。けれど、「なかには普通に稼げるところもあるんだ」ということは言えるはずだ。実際、ぼくはNPOに転職したら、ベンチャーに勤めていた時よりも年収は上がった。
それは、大企業ほどの高収入とは行かないまでも、「食べていける」NPOはちゃんとあるのだ。
今後さらに高年収のNPO職員も生まれる?
昨年行われた「DODAソーシャルキャリアフォーラム2017」で、認定NPO法人日本ファンドレイジング協会の鵜尾雅隆氏が、「これからNPO全体で給料が高いとこも出てくるのでは。高いところは、民間平均500万、大企業平均700万の間の、年収600万くらいを目指すべきじゃないか」ということを語っていた。
ファンドレイジングがうまくいけば、それくらいの年収になることも可能だ。
ぼくの親にも、山本香苗議員や世耕弘成大臣の議論や鵜尾雅隆氏の話を聞かせてあげたいのだけれど。なかなかこういう情報って、ニュースにならないんだよなぁ。