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Social Career Note

働き方編集者 山中康司の備忘録

そもそもソーシャルビジネスとは? 簡単にまとめてみた

ソーシャルビジネス

「ソーシャルビジネス」ということばを目にしたり、耳にしたりすることは珍しくなくなりました。

 

でも、なにげなく使うからこそ、「そういえば、このことばの意味ってなんだっけ?」というふうに、その本来の意味を忘れてしまう(あるいはもともと知らない)こともあるのが世の常、人の常。

 

なので、備忘録的に、あらためて「ソーシャルビジネス」とはなにかについてまとめてみます。

 

ソーシャルビジネスとは

ソーシャルビジネスとはなにか、ということについては、さまざまな組織がさまざまなことを言っています。そのなかでも、かなり頻繁に参照されるのが、早稲田大学の谷本寛治教授が提示した、3つの要件です。

 

(1)社会性

社会的課題に取り組むことを事業活動のミッションとすること。

(2)事業
社会性をビジネスの形に表し、継続的に事業活動を進めていくこと。
(3)革新性
新しい社会的商品・サービスや、それを提供するための仕組みを開発したり、活用したりすること。また、その活動が社会に広がることを通して、新しい社会的価値を創出すること。

(参考:谷本寛治『ソーシャル・エンタープライズ社会的企業の台頭』中央経済社、2006 年)

 

 また谷本氏は、ソーシャルビジネスと一般企業によるビジネスの違いを、対応する領域の差にもとめます。

 

・政府・行政の対応を超える領域
・市場の対応を超える領域

 

以上のこともとにぼくなりにソーシャルビジネスの定義をまとめると、

「政府・行政、そして市場では対応できない社会課題にたいし、事業性を持って取り組み、革新的な商品・サービス・仕組みを生み出すこと」

ということになります。

 

事例については次のようなページにたくさん(ちょっと古い事例もありますが)まとめられていますので、気になる方は要チェック。

matome.naver.jp

www.meti.go.jp

 

ソーシャルビジネスが生まれた背景

それではなぜ、このようなビジネスが生まれてきたのでしょうか。

 

背景にあるのは、「新自由主義」という考え方。

 

新自由主義」とは、経済への政府の介入を減らし、規制緩和等を通じて従来政府が担っていた機能を市場に任せることです。

 

1980年代以降、アメリカのレーガン政権やイギリスのサッチャー政権が、新自由主義に基づき社会保障費を大幅に削減。公的な助成金補助金を失ったNPOが、事業の核となる取り組みから収益を得ることができる事業モデルを模索したことが、ソーシャルビジネスがひろまったきっかけとされています。

 

日本でも、1980年代末期から続いたバブル景気が1990年代初頭に崩壊し、また少子高齢化が進むなかで財政が緊縮されるようになり、公共サービスを市民自身やNPOが主体となり提供する「新しい公共」が注目されるようになりました。

 

三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社が行った調査によると、2014年(平成 26 年)時点の日本では、社会的企業の数は調査の母集団となった企業 174.6 万社のうち20.5 万社(11.8%)、社会的企業の付加価値額は 16.0 兆円(対 GDP 比 3.3%)、有給職員数は 577.6 万人。社会的企業の社会的事業による収益は 10.4 兆円。

 

さらに同じ調査では、「日本の社会的企業の経済規模は、企業数や GDP といった点から英国よりもやや小さいものの、雇用に対する影響力では英国よりも大きい と考えられる。」と分析されています。

(参考:「我が国における社会的企業の活動規模に関する調査」三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社

 

 

ソーシャルビジネスの課題

ソーシャルビジネスが注目され始めて、日本では20年以上が経っています。そのなかで多くの成功事例が生まれながらも、日本でのソーシャルビジネスはいまだ多くの課題をはらんでいます。

 

 

ちょっと、というかかなり古いですが、ソーシャルビジネス研究会が2008年に、ソーシャルビジネスを実践する組織に対して行った調査では、回答から次のような課題が浮かび上がりました。

 

事業を展開する上での課題としては、「認知度向上」(45.7%)、「資金調達」
(41%)、「人材育成」(36.2%)の 3 つが大きな課題となっているということ。

 

また 、ソーシャルビジネスの普及・発展させていく上での課題については、「公的機関との連携・協働の推進」(42.5%)、「担い手不足」(42.3%)、「認知度が低い」(41.9%)、「資金提供の仕組みの充実」(37.2%)等の課題が大きいということ。

(参考:「ソーシャルビジネス研究会 報告書」経済産業省※PDF資料

 

これらの課題をうけて、報告書では次のような対策を提示しています。

 

(1)社会的認知度の向上

(2)資金調達の円滑化

(3)ソーシャルビジネス等を担う人材の育成

(4)事業展開の支援

(5)ソーシャルビジネスの事業基盤強化

 

詳しくは「ソーシャルビジネス研究会 報告書」を読んでもらいたいのですが、これらの課題と対策は現在でもソーシャルビジネスの分野で求められていることなのではないでしょうか。

 

まとめ

以上、ソーシャルビジネスの概要について簡単にまとめてみました。

 

「課題先進国」と呼ばれる日本で、わたしたちの身の回りのさまざまな課題を解決していくときに、政府や行政の力には限界があります。社会課題の解決を行政に任せっきりにするのではなく、民間の力、つまりソーシャルビジネスによるイノベーションを起こすことが、今後不可欠になってきます。

 

それは見方を変えれば、わたしたち自身が、わたしたち自身の問題を解決するチャンスを得られるということ。これって、わくわくしませんか? 個人的には、ソーシャルビジネスに関わりながらはたらくという選択肢がもっと一般的になったら楽しいし、そうなっていくんじゃないかな、と思っています。