キャリアの物語をつむぐ

働きかた編集者 山中康司のブログ

【映画から考えるしごと論】社会的活動は和を乱す?-『スポットライト 世紀のスクープ』-

「社会的活動」と聞くと、なにやらいいことをしているような印象を持つでしょう。でも、ときには社会的活動だと思えるような取り組みが、周囲の人からの批判にさらされることも。

 

映画『Spotlight』では、そんな「社会的な活動なのに、批判をあびてしまう」ジレンマが描かれています。

 

spotlight-scoop.com

 

物語の内容

2002年、アメリカの新聞「ボストン・グローブ」が、「SPOTLIGHT」と名の付いた新聞一面に、衝撃的な記事を掲載しました。ボストンの多くの神父によって子どもたちへの性的虐待が行われ、カトリック教会がその事実を知りながらも隠蔽していたというのです。映画ではひとびとに衝撃を与えたこのスキャンダルの背景に会った、ジャーナリストたちの戦いが描かれています。

 

とくに興味深かったのは、ジャーナリストたちが真実に近づきつつある終盤、教会のみならず友人や同じ地域に住む住人たちからも、「深入りするな」「記事を掲載するな」と圧力をかけられる場面。正義感にのっとって真実を追いかけるジャーナリストに対し、「社会の調和を乱さないでくれ」といったような批判が投げかけられるのです。

 

社会的活動は同調圧力にさらされる

「社会的活動」とは、とてもあいまいな言葉ですが、多かれ少なかれそれまでの社会のあり方やルールを変えることをめざしています。そのルールの背景にとても大きな権力が潜んでいたり、そのあり方がコミュニティにしっかり根付いていたりしたときに、社会的活動は「和をみだすな」という圧力にさらされるのでしょう。

 

的外れな批判を笑い飛ばせるか

ドラスティックに社会を変えようと思ったら、一緒に戦う仲間を見つけたり、批判を受け流せるくらいタフになるなどして、同調圧力をはねのけることが必要です。以前会ったことがある社会起業家は「的外れな批判は、仲間たちとの笑い話の種にしていますよ」と言っていました。なんてタフなんだろう。

 

僕は正直、そこまでのタフさはなさそうです。さて、みなさんはいかがですか?