ニュートラルゾーンで転機を味わい尽くす-ブリッジズのキャリアトランジション論②-
前回のエントリに続き、ブリッジズのキャリアトランジション論についてご紹介します。
ちょこっとおさらいをしておくと、「トランジション」とは「節目、転機」という意味。
ブリッジズは、転機を次の3つに分けていたのでした。
第1段階……終わり
第2段階……ニュートラルゾーン
第3段階……始まり
キャリアの転機においては、きちんとそれまでの状態を”終わらせる”ことが大事。そして、”終わらせる”ために必要なのが、「ニュートラルゾーン」だとブリッジズは言っています。
ニュートラルゾーンとは
「終わり」の段階は、結構苦しいもの。それまで慣れ親しんだ人や環境から引き離され、自分は何者であるかということが分からなくなったり、それまでの価値観が崩れそうになってしまったり、今後どの方向に進むべきかわからず途方にくれたり、と言った経験は、多くの方が身に覚えがあるのではないでしょうか。
そうした苦しい時間は、さっさと終わらせて次のステップを踏み出したいもの。でも、ブリッジズはそうした誘惑を否定します。上記のような感覚から逃げることなく、味わい尽くすことを通して、新しい「始まり」を切ることができるのだと。
恋愛で言えば、前の恋人への未練を断ち切ることができなければ次の恋には進めない、ってことですね。
その”終わりを味わい尽くす”時間が、ニュートラルゾーンと呼ばれる段階。ようは、宙ぶらりんの状態です。
”終わりを味わい尽くす”6つの方法
では、具体的にどのようにしたら、ニュートラルゾーンで”終わりを味わい尽くす”ことができるのか。ブリッジズは、ニュートラルゾーンの体験を意義あるものにするための具体的な対応を6つ挙げています。
- ひとりになれる特定の時間と場所を確保する
- ニュートラルゾーンでの体験の記録を付ける
- 自叙伝を書くために、ひと休みする
- この機会に、本当にやりたいことを見いだす
- もしいま死んだら、心残りは何かを考える
- 数日間、自分なりの通過儀礼を体験する
つまりざっくりまとめれば、ひとりになって来し方行く末を考えてみる。そのためには自叙伝を書いたり、通過儀礼としてのひとり旅をしてみたりする。そこで沸き起こった感情を記録して、自分のこれまでとこれからに意味付けを見出していく。ということでしょう。
僕自身、キャリアに悩んだ時はひとり旅にでます。四国をバックパックを背負って回ったりとか、琵琶湖を一周したりとか。そんな時間が取れない時は、近場で静かなスーパー銭湯に1日中こもります。どちらの場合もノートを持って行って、生まれてからこれまでを振り返り(モチベーション曲線を書くと振り返りやすいかも)、そこからこれからどう生きていこうかを考えます。
すると、モヤモヤしてたものが「これはこういう意味があったんだなぁ」と気づけて、パッと視界が開けたりするんですよね。
僕の場合ひとりでいるのが苦にならない正確なのですが、「いつも誰かといることが多くて、ひとりは苦手」という方も、キャリアの転機には思い切ってひとりになってみることをおすすめします。自分を深掘りしていけば、新しい自分と出会える貴重なチャンスですから。
転機はポジティブなもの
キャリアの転機は、どうしてもモヤモヤというか、ネガティブになってしまいがち。ですが、人生においてかけがえのない時期なのだと僕は思っています。
転機って、望んでも必ずしも訪れるものではないですよね。転機を転機と気づかず、あるいは転機があってもしっかり味わい尽くすことをせずにいると、せっかくの成長の機会を逃してしまうことになります。
もし「今、キャリアでモヤモヤしてるな」と思ったら、それは新しい人生を踏み出すチャンスなのかもしれません。悩んだぶんだけ、次の一歩は軽やかに、明るい気持ちで踏み出せると信じて、転機を味わい尽くしてみてください。