「ティール組織」から考える、組織における”DOの肩書き・BEの肩書き”
変化が激しいVUCAの時代には、個人も組織も「DO(何をするか)」よりも「BE(どうあるか)」を考えることが大切になっている。「BE」がしっかりしていれば、変化にも柔軟に対応していけるのだ。
個人のキャリアにおける「BE」は、兼松佳宏さんが考え方と実践の場をつくっている。
(参考:DOとしての肩書き、BEとしての肩書き | greenz.jp | ほしい未来は、つくろう。)
そして、組織においても「BE」が重要であることを指摘しているのが、今話題の「ティール組織」というパラダイムだ。
「ティール組織」とは
「ティール組織」とは、『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』で示された、新しいマネジメントのパラダイムのこと。
そのパラダイムについてはhome’s vi代表理事である嘉村賢州さんの整理がわかりやすい。
旧パラダイム
世の中の物差しや価値観から帰納して組織の存在を定義。将来の見通しを立てて、経営戦略に落とし込む。他社と比較してポジショニングをし、市場を取りにいく、という発想。KPIのような科学的測定や評価・分類によって評価する。
新パラダイム(ティール)
組織に属するメンバーひとり一人がどのようなギフトをもっているのか、どうありたいか、組織メンバーの能力や想いを演繹して組織の存在を定義。将来への方向性はあるが、固定されたビジョンやミッションを持たない。進化する目的を探求する中で組織としてのアウトプットが浮かび上がってくる。外的物差しで評価しない。
つまり、外部環境をもとに設定された目標を達成するために、メンバーを役割に当てはめて管理していく、帰納的なマネジメントのあり方ではなく、メンバー一人ひとりの自律を前提とし、柔軟に変化していけるような、演繹的なマネジメントのパラダイムのこと。
外発的動機づけにもとづくマネジメントに対して、内発的動機づけにもとづくマネジメントのあり方、とも言えるかもしれない。
ティール組織については、次の記事にも詳しくまとめられている。
ぼくなりにざっくり要点をまとめると、
・目標の達成を目指す「達成型組織」は、高い成果を残す一方で、メンバーを疲弊させる
・疲弊の要因は、
(1)組織が生き残るために働かなければならない、という恐れがあること
(2)上下関係による管理コストと恐れがあること
(3)自分の全人格のうち、目標達成に必要な部分しか会社で発揮できないここと
による。
・「達成型組織」に対して「ティール組織」は、個人の自律を前提とした組織のあり方
・特徴としては、
(1)目標ではなく、存在目的を意識すること
(2)上意下達ではなく、助言をベースにした自主経営を行うこと
(3)メンバーは個人の全体性を仕事に持ち込めること
がある。
・これらの特徴があることで、メンバーが自律性を発揮することができる。
ということだ。
ソーシャルセクターにおけるティール組織
ぼくの関心領域である「ソーシャルキャリア」に関連づけて考えると、ソーシャルセクターの組織は、ある社会課題の解決をミッションに掲げていることが多い。そうすると、どうしても「達成型組織」になってしまい、メンバーが疲弊していた…ということになりかねない。(いわゆる「やりがい搾取」)
ソーシャルな領域でキャリアを歩みたいと思ったらとくに、その組織の「BE」、つまり存在目的に注目してみるのも大切だ。
その組織が、どうありたいと考えているのか。それが、メンバーにまで浸透しているのか。そして、メンバーが自律的に働けているのか…。
そういったこと基準に、働く場所を選んでみるのだ。
思いを持った個人が、その思いがあるあまりに組織で疲弊してしまうのは悲しいことだし、社会にとっても大きな痛手。個人が思いを思いとして大事に育てていける組織は、結果的にメンバーだれもが力を発揮し、より良い未来の実現につながるんじゃないかな。